困難な国民皆保険の実現

アメリカに住むように なって4年、病院に3回かかった。風邪をひいた時と歯の治療のためだ。内科で約250ドル、最新の治療を受けた歯科では約9000ドルもかかった。円換算 で約110万円にもなる。
 3年前、夫が近くの公園でけがをして救急車で運ばれた時、2日間の入院で約5000ドルの請求がきた。医療保険をかけていたが、カバーしきれなかった。 日本に いる娘にアメリカで出産させようと準備を始めたら、普通の入院、出産で約2万ドルかかると言われ、あきらめたこともある。



マイケル・ムーア監督
  今、ドキュメンタリー映画「シッコ」が話題になっている。アメリカの医療保険制度を強烈に皮肉ったものだ。仕事中の事故で2本の指を切 断してしまった大工職人に、医師が聞く。「どっちの指をくっつけたい」と。薬指は1万2千ドルで中指は6万ドル。安い方を選んだ彼には中指がない。骨髄移 植が決まっていた重病の男性は、保険会社がなかなかお金を下ろさないうちに、死んでしまった。映画は、そんな実態を描いている。それが、医療の最先端を走 るアメリカ合衆国なのだ。

 隣人の一人は6年前に転職して農業を始めた。その傍ら、スクールバスの運転手をしている。「妻、子ども3人を抱えているので、運転手の仕事は医療保険を 確保するためだ」という。
 アメリカ大統領選の候補者、ヒラリー・クリントンさんは夫が大統領だった時、国民皆保険を取り入れようと頑張った。しかし、さまざまな圧力で実現しな かった。もし、彼女が大統領になったとしても、その実現には困難が予想される。
 アメリカに住む限り、病気にならないように、なるべく医師にかからないように、健康には十分注意しなければならない。








ヒラリー・クリントン大統領候補



(2007年11月24日掲載)




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