献血通して健康な大人に  


  「風邪ひかないでね」「ピアスの穴は開けないで」 「だれとでもエッチしちゃダメ」。このごろ、我が高校の保健室ではこんなやりとりが多い。冬休みが終わ るとすぐに献血があるからだ。 あくまでもボランティアで強制ではないのだが、私がうるさく言うので、たくさんの生徒が協力してくれる。しかし、体調が悪 いと駄目だし、最近は肝炎やエイズなどの感染症を取りこまないために問診段階での条件が厳しい。高校生と言えども落とされてしまうことが多くなってきた。 せっかくの気持ちを生かせるよう、受け付けに来てくれた生徒全員が検査にパスすることを願うばかりである。

 献血で思い出されるのが、1995年1月17日の阪神大震災である。大勢の死傷者が出たちょうど二日後に、学校で献血が予定されていた。

  何 千人ものけが人の中には、一刻を争う状態の人もたくさんいた。近場の医療機関の血液はあっという間になくなった。神戸の血液センターから全国に「早急に、 出来るだけ多くの血液が必要。協力を願う」との緊急連絡が出され、本校にもすぐ伝わった。生徒に説明すると、これまで一度も献血していなかった生徒も次々 と「私の血液をあげてください」と受け付けにやってきたのだ。

 血液センターでは、急きょすべての献血車を出 動させ、時間を延長して対応した。結果、これまでにない400人を超える血液が集められ、その日のうちにヘリコプ ターで神戸に運ばれて多くの人の命を救うことができた。

 山梨県で は、大人があまり献血に協 力しない傾向があり、高校生の献血に頼らざるをえない現状がある。献血に対する偏見や誤解が多く、正しい知識が乏しいのが一因で、ボランティア精神を育て る環境も少ないからではないか。柔軟な心身を持つ高校時代に、「献血」という行為を通して、心身共に健康な大人になってほしいと願っている。

1999年12月掲載)

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