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ハンディ乗り越え限界に挑戦
春休みの保健室、新学期の準備をしながら卒業した孝彦のことを思い出していた。孝彦は先天性軟骨異栄養症という難病で、18才の今でも身長が120センチ
足らずである。他にも背骨のわん曲があったり、豊かな感情を持っていても顔にうまく表現できないなど、大変なハンディを持っている。しかし孝彦はそれを乗
り越え、立派に卒業していった。
今年の卒業式は孝彦のおかげでとても感動的なものになった。卒業生一人一人に卒業証書が渡された後、皆勤賞の授与があった。孝彦はその代表として名前を呼
ばれた。大勢の参列者が見守る中、小さな身体でしっかり床を踏みしめ壇上に上っていった。校長先生から「おめでとう、よく頑張った」と賞状を渡されると会
場から拍手がわき、しばらく鳴りやまなかった。あちこちですすり泣く声も聞こえた。3年間1日も休まず、誰よりも頑張ってきた孝彦をみんなが知っていた。
「普通の人と同じようにしたい」というのが孝彦のモットーである。強歩大会の参加もドクターから「無理しないように」と指示があったが「自分の限界に挑戦
する」と頑張った。成績はいつもトップクラス、3年生ではクラスの委員長も努めた。念願の大学にも合格し、4月から大学生である。そして「『五体不満足
の』乙武洋匡さんを尊敬している。あんな笑顔ができてすごい」と言う。孝彦の母親はPTA会議の席で「家では朝、子供を起こしたことがありません。ために
なりませんから」と明るく言っていた。父親は孝彦が運転免許を取るために車を改造し、孝彦にピッタリの運転席を作り上げたとのこと。両親の暖かい愛情が伝
わってくるようだ。
福祉に関する講演会で講師の先生が言ったことを思い出した。「神様が障害を持った赤ちゃんを抱いて天から地球上を見ていました。この子をどの人に授けよう
か、大事に育ててくれる夫婦はどこかと探していました。そして、この子を育てる親は選ばれたのです。」と。孝彦君、これからも元気で頑張ってください。
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