非常識な若者 黙認する大人


  朝の保健室。「先生、聞いて、頭にきちゃう」と駆け込んできたのは1年生の由美。「洋子が家に泊まったんだけど、常識というものがないんだから、あんな人 とは思わなかった」と興奮ぎみ。どうしても話さなければ気が済まないというので、聞いてみた。

  由美と洋子とは高校へ入学してからの友人である。由美は母子家庭で姉と3人暮らし、洋子も訳があって祖母と伯父さんとの3人暮らしだ。お互い恵まれない境 遇に近親感を持ったようだ。

  最近になって洋子は朝から「お腹が痛い」と保健室に通うようになった。少し休むと、すぐかいふくして教室へ戻っていくのだが、毎日なので受診を勧めてい た。洋子は「家の人は病院へ連れていってくれない、車もないし」と由美に相談した。「それじゃ私のお母さんに話してみる」。そして、由美の母親が車で病院 まで送迎することになったという。

  そ れからが大変だった。洋子は「胃腸炎だって、大したことないから由美の家に泊まってもいい?」「別にいいけど…」ということになった。由美の家で、洋子は 信じられない行動をとりはじめた。由美の姉の部屋に入り、ベッドに座り込んでステレオやTVを見る。台所の冷蔵庫を勝手に開けて「何かない?」と中をのぞ く。夕食時、出されたものを見て「うどんは嫌い、食べたくない」。由美はむっとして「よその家に来てそれはないでしょう!」と注意すると、ふてくされたよ うに、あぐらをかいて食べはじめたとのこと。

  夜、 由美の部屋で寝ることになったのだが、「洋子はソファーに寝てね」「いやよ、私はベッドに寝たい」と言い張り、結局、洋子にベッドをとられてしまった。夜 中、由美が物音に気づいて目が覚めた。下で洋子がピアノをたたいているのだ。「何やってんの、夜中だよ」「眠れないんだもん」。母親も起きてきて「あなた 達、いい加減にしなさい」「だって洋子が…」翌 日、洋子はお礼の一つも言わず、帰っていった。由美は母親から、こっぴどくお説教をされた。「私だって頭に来てるわよ」と言ってはみたものの、腹の虫が治 まらない。学校に登校するやいなや、保健室に飛び込んだという訳だ。

  洋子とまでいかなくても、最近の高校生はこんな非常識な行動をとる者が増えている。周囲の大人は注意もせず、黙認して流してしまう。あげく、「今時はそん なもの‥」と責任転換までする。正面からそれを正そうとしない。争ったり、神経をすり減らすことを嫌うのだ。このくり返しが非常識な子供を育てている。

(2003 年1月掲載)

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