高校生の親、もっと汗かいて


 
昼休み、いつものようにガヤガヤと生徒たちがやってきた。互いに身長を測りながら「3ミリ増えた」「2ミリ減った」などと一喜一憂している。「人は直立動 物だから一日に1センチくらい減って朝になったら戻るのよ」「なんだ、そうか」。高校生は3年間で平均3センチしか伸びない。ほとんどは中学時代に成長の ピークを過ぎている。しかし、思春期真っ盛りの彼らは、自分の容姿に関心が高い。特に身長の低い者にとっては深刻な悩みになることが多い。

  放課後になり、サッカー部の茂樹が「先生、おれ、これから身長がどのくらい伸びるかな」と聞きに来た。「そうね、君はまだ声変わりしていないから伸びるか も ね」と、小中学校時代の成長記録を調べてみた。

茂 樹は幼少時から小柄だった。サッカーが好きで小3からずっと続けているという。ところが、小6ごろから朝食を食べない習慣がついてしまった。高校になり電 車通学が始まった。朝は6半に起床、ますます朝食がとれなくなったという。お昼は持参のお弁当、放課後はサッカーの練習で帰宅は夜8ごろになることもあ る。疲れて夕食もそこそこで寝てしまうことのこと。顧問の先生は「茂樹はパワーがない。集中力に欠ける。食が細い」と言う。明らかに栄養不足なのだ。

  現在の生活は昔と大きく変わり、子どもの就床時間も遅くなった。生活リズムの崩れは心身の成長に大きく影響、発達異常の原因になる。高校生が朝食をとらな いのは普通のことだと思っているのだろうか。本校の生徒は20%前後が朝食を食べてこない。高校生は食生活を自分で管理出来ない。まだまだ親や家族の責任 である。自分の子どもが急に大人びてきて、行動範囲も広くなると、「もう自分で何でも出来るだろう」と手を抜きがちになる。やかましく説教したくない。面 倒なことはなるべくかかわりたくないという親の自信のなさ、ずるさがかいま見える。子どもが健やかに成長するため、親は当たり前のことに苦労し、汗をかい て欲しい。

2001年12月掲載)
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