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強歩大会の思わぬ結果
きょ
うは我が高校恒例の強歩大会だ。「よ−い、ドン!」。ピストルの音を合図に全校生徒600人がグランドから一斉にスタートする。近くの山のふもとにある湖
まで、往復21キロのコースだ。群を抜いて飛び出す者、後から仲間とゆっ<り歩いて行く者と、参加者の意気込みはそれぞれである。
強
歩大会は、他県には見られない独特の伝統行事。この大会では、時々死亡事故も起きていることから、養護教諭は事前の健康チェックに細心の注意を払う。子ど
もたちの体力は低下し、健康状態にも大きな変化が現れてきた。体力と根性をつけることが目的だった時代とは、大きな違いだ。強歩大会は、最も緊張する一瞬
でもある。
2時間が経過した時、「先頭が入ってきたぞ」と
声がした。一年生のE君だ。額に汗を光らせ、足取りも軽く、さっそうとゴールテープを切る。父母が用意した豚汁は
300人分しかないため、必死で頑張ったという生徒もいる。出発から5時間、ハイキング気分の生徒もぞろぞろ帰ってきた。完走率は93.3%。まずまずの
成績だった。
2年生のT
君は、保健室の常連だ。野球部員で、西武の松坂投手のようにかっこいいが、練習嫌いでよくさぼっている。「おなかが痛い、頭が痛い」と言って、授業もよく
さぼる。強歩大会の事前健康相談には、率先して来て、「足が痛い」だの、「調子が良くない」だの言って、是非「要注意者」として参加したいと自ら申し出て
いた。
当日、要注意者として、黄色のたすきを肩にか
け、後ろからのろのろ出発したT君だが、結果は何と38位の上位入賞。ひょうひょうとして豚汁をほ
うばっている彼を見つけ、事前の一生懸命な言い訳をからかいたくなった。
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