沈黙が親子の仲疎遠に


 
本校では1学期の後半からポツポツと退学する生徒が出る。先日も職員朝礼で教務係の先生から報告があった。「1年1組の明君から退学届が出されました。彼 は入学当初から不登校気味で1学期の後半はほとんど学校に来なくなってしまった生徒です」。今年になって10人目だ。また暗い気持ちになる。

  2学期は不登校の生徒が増える。長期の休みがきっかけになることが多い。高校では欠席がかさむと単位が取れず、進級できなくなる。留年が決まると、「それ なら退学する」となってしまう。特に1年生は2学期が一つの節目だ。

  高校は義務教育ではないのだが、この時勢、親や周囲は「高校くらいは出しておかないと」と心配し、「学校はもういい、行きたくない」という子どもを無理に 入学させてしまうケースがかなりある。そうなると学校生活は辛く悲惨な状態になる。学校側も大変だ。明もその一人、典型的なケースだ。彼は中学校から不登 校気味であったが、何とか卒業した。「高校へは行きたくない」という彼を周囲が説得し、嫌々入学させた。初めのうちは何とか登校していたが、だんだん欠席 が目立ってきた。担任教諭らが電話や家庭訪問を通じて登校を促すと、逃げたり隠れたりして連絡が取れなくなった。

  ある日、保健室にやってきた明に「どうしたの、みんな心配していたよ」と話しかけると、「友だちの家に泊まってた」という。「親は知らないの、周りの人に 迷惑でしょう」「友だちの部屋だから誰も何も言わない」と明。コンビニで買ってきたものを適当に食べ、昼間はゴロゴロしていたという。親はそれを知りなが ら何も言わない。「今の子は当たり前」と黙認する。かかわってごたごたするのを避けたいのだ。親子の仲はますます疎遠になり、子どもは不安になる。

  保健室では、このところ「辞めたい、」「授業はいやだ」とやって来る生徒の対応に追われている。家庭でやるべきことと思いながらも、生徒の顔を見ると「ど うしたの、元気ないね。ご飯食べてきた?」と言っている私だ。

2001年10月掲 載
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