まず、聞く耳を持とう 


 
保 健室には先生も大勢やってくる。休養や連絡、話し合いに来たりするのだが、たまにはお茶など飲みながら悩みや愚痴も飛び出す。

  「まいった、まいった。また車に傷つけられちゃった。もう修理するのはやめた、転任するまで傷だらけの人生でいくことにする」と憤慨するのは、生徒問題の 多い2学年主任のA先生。「まったく胃の調子も悪くなるよ」とお腹をさすりながら訴える。

  昨年赴任してきた20代の女教師B先生は「最初はエッチなことを言ったり、髪を引っぱったり、いろいろちょっかいを出してくるんです。いつかミニスカート をはいてきたら、生徒の視線が足に集中し、授業にならなかったことがありました。それ以来、学校ではズボンにしました。」とのこと。

  「うちのクラスの鈴木は、今の時間保健室に来てましたか。やっぱり、どうしようもないなあ、また注意しなくては」数学の授業になると保健室に来るか、どこ かにふけてしまう鈴木君の担任C先生が言う。

  不登校ぎみの啓介が保健室にいるのを通りかかった担任のD先生が見つけ、ツカツカと入ってくるなり「お前はこんなところで何しているんだ。早く教室へ行 け。中学校じゃあないんだから授業に出なきゃ欠席と同じなんだ。いつも言ってるだろう」啓介は次の日から学校に来なくなってしまった。

  担任二年目のF先生は今年も女子の最も多いクラスを担当することになった。「僕はどうも女難の相があるようです。去年は女子生徒には振り回されましたから ね。勝手なことを言うし、怒ればすぐ泣くし、なだめたりすかしたり疲れちゃいます」と言っているが、女子生徒には一番の人気者だ。

  教育相談係のG先生は「最近の子は、こうしろ、ああしろと言えば言うほど反抗してくるんだから、まず 聞く耳を持つことだよ。そうしているうちに、彼らは心を開いて、先生の言うことも聞くようになる。」と。私もそう思う。             

  (2000年4月掲載)  
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